第2のセサンバクロ

今日は、いま好評開催中のKIM SUNG-GEUN最新作展『日常の向こうへ ーデペイズマンの世界ー』に向けてお客様に作成頂いた、一つの物語をご紹介させて頂きます。

作者は、鹿児島在住のMIYUKIさん。フジムラコンテンポラリーアートとは長いお付き合いの親しみあるチャーミングな女性。数々の絵画に合わせた世界観を独自の観点で物語化し、こうして時々、投稿頂き、フジムラコンテンポラリーアートブログでご紹介させて頂いています。今回は、キム・ソングンの作品雰囲気に合わせ頂戴した最新の物語を掲載しました。どうぞお楽しみ下さい。

 

物語の起点となった作品・*

物語の起点となった作品・*

 

タイトル:二人の青空

 

私は青空が大好き。
夏の暑いさなかに見える青空も、秋晴れのさわやかな青空も大好き。
そんな青空が大好きな女の子は、実はちょっとおてんばさん。

家の裏の小高い丘の上にある、枝をたくさん広げた大きな木の枝に登って、そこから見える景色を眺めるのが大好きでした。木の上からは近くの木々や緑の草原、そして、広い広い青空が見えるんです。天気のいい日には遠くに海も見えます。木の上で本を読みながら、時々青空や遠くに見える青い海などの景色を眺めて過ごすのが、女の子は何よりも大好きでした。

 

イメージ1.

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でも寒い冬の今は、くもった空が多く、すっきりとした青空が見えないのがとても残念。だからせめて、部屋の中に青空の描かれてる絵を飾ろうと思ったんです。
すっきりとした、きれいな色の青空の絵。
どこかにそんな素敵な絵はないかしら。そうしたら寒い冬の間も、大好きな青空を眺めて過ごすことができます。

 

そこで女の子は青空の絵を探しに行くことにしました。
まず近くの町へ行ってみました。雑貨屋さんなどいくつか見て回りましたが、女の子の気に入るような絵は見つかりません。写真ならおいてある店もありましたが、女の子は写真よりも、少しあたたかみのあるやさしい色合いの絵のほうがいいなと思って、また探しに出かけました。

空が描かれたポスターもあるにはあったのですが、空の部分が小さかったり、女の子の好きな色合いでなかったりで、これまた気に入ったものが見つかりません。女の子は自分の気に入った絵を探しにまた歩き始めました。

 

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そして町から少し離れた小さな村にやって来ました。

そこで女の子は一人の男の子と出会いました。年はちょうど女の子と同じくらいの男の子です。男の子はいつも川べりで絵を描いていました。冬でも日差しのある暖かい日は絵を描きに来ていたのです。女の子は村へ向かって川のそばを歩いているときに男の子の姿を見つけ、声をかけて描いている絵を見せてもらいました。冬でも川のそばに咲いている小さな花をやさしい色合いで描いた絵でした。その絵を見た女の子は、男の子の描く他の絵も見てみたくなりました。

 

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男の子の家に一緒に行き、男の子が今までに描いたたくさんの絵を見せてもらいました。

そこには花だけでなく、動物だったり果物だったり、川べりから見える風景だったりと身近にあるいろんなものが、やさしいタッチと色合いで描かれていました。

それを見た女の子は、寒い冬でも大好きな青空が見られるように、青空の絵を描いてほしいとたのみました。男の子は女の子とどんな絵にしたいか二人で話し合いながら少しずつ描きすすめていきました。暖かい日はあの川べりで、寒い日は男の子の家で絵を描いていたのでした。

「ここは、こんな感じの色でいい?」「うん、そんな感じ!」いつも二人は楽しくおしゃべりしながら、男の子は女の子の望む絵にしていったのでした。

 

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そうやって、ようやく青空の絵ができあがりました。これで寒い冬でも、大好きな青空をいつでも見ることができます。そこには、あの木の上から見える風景、近くの木々や緑の草原、遠くに見える青い海、青空に浮かぶ二つのぼうしが、きれいなやさしい色合いで描かれていました。

「青空の絵って青空だけ描けばいいの?」

「青空と一緒に描いてほしいものある?」

「青空だけだと、ちょっとつまんないかな。そうね、遠くに海が見えているのも素敵よね。」などと、どんな絵にしたいか二人で話しているときに、「そうだ!」と女の子が急に大きな声を出したのです。

どうやら何かいいことを思いついたようなのです。そうなんです。女の子はあの木の上から見える大好きな風景を描いてもらうことを思いついたんです。

 

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男の子にその風景について話し出すと話が尽きません。男の子も女の子の話を聞いていて、そんな素晴らしい景色なら、ぜひ描いてみたいと思って、できあがった絵なのでした。

そして春になったら、男の子と「あの木の上から見える風景を一緒に見ようっね。」って約束したのです。やがて春になり、絵のお礼に女の子は、男の子を大好きな風景の見えるあの木の上に連れて行き、二人仲良く並んで座り、木の上から見える風景をいつまでも見ていたのでした。


素敵な物語をありがとうございました!

大笑い中の・・・MIYUKIさん

大笑い中の・・・MIYUKIさん

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