私達のギャラリーには、動物好きの心優しい方が多くいらっしゃいます。本日は、その中でも、かわいいネコちゃんを飼っていらっしゃる土屋さんの「ネコ目線の物語」をお届けしたいと思います。ネコ達の成長や心の変化が楽しめる、ちょっとせつない心温まる物語です。
作者は勿論、土屋さま。そして、この物語を読んで下さる皆様、どうぞお楽しみ下さい(*^_^*)
第1話 『初代黒猫マリー』の出会いと別れ
私は、黒と白の毛に覆われている『初代黒猫マリー』です。今から2年半程前の夏に、動物好きなご主人に出会いました。ある日、私が散歩していると、窓が開いている家が目に入りました。
その家の窓は地面からジャンプすれば届く高さにあるけれど、窓の下に出っ張っているところがあり、その周りには、私が通れるくらいの間を開けて、白くて冷たい棒のような物が付いていました。よく見渡すと、地面から白くて冷たい樹の様なものが屋根の方まで伸びていました。また、途中には、踏み台にちょうど良い曲がりがありました。
興味津々でちょっと上がってみようかなと思い駆け上がりました。そして、抜き足、差し足、忍び足といった具合で近づきその家に入りました。中に入ると、そこは、人が食べ物を調理するところでした。少し奥に進むとそこに住んでいる男の人が隣の部屋から出てきて、私と目が合ってしまいました。驚きのあまりあわてて入ってきた所を逆戻りし外に向かって逃げました。
2日後に、その家の近くを散歩していると、窓がまた開いていました。ドキドキしながら、出っ張りに駆け上がりその家に入っていきました。するとそこのご主人が 「よく来たな」といって、おいでおいでと私を手招きしましたが、恐怖と不安でいっぱいの私は外に出ようとしました。
でも、追いかけてこなかったので用意してあったご飯を食べました。これが、ご主人との出会いです。
その後、家の中でご飯を食べ、ご主人が出かけるときは、窓の外の出っ張りでご飯を食べ通う様になりました。
数日が過ぎ、朝晩冷え込むようになってきました。ある日の夕食後、泊めていただこうと思い、家の奥の方にはいりました。優しいご主人は追い出すこともなく朝までマットの上で、ゆっくりと眠ることができました。でも、朝になるとご主人は仕事に出かけるのか着替え始めました。
数分後、ご主人が外に指を向けて『ゴー!』と言いました。指差しして『外に出なさい』と言っているのだなと思い、窓から外にでました。こんな日が数日続きましたが、徐々に日中も寒くなり冬がやってきました。
ある日、奥の部屋にいた私の近くにご主人が寄ってきて、指を外に向けて 『ゴー!』 と言いました。外に出たくありませんでしたので物陰に隠れました。するとご主人は、円筒状の物(掃除機のパイプ部分)で、私を追い出そうとしました。なぜ、ここにいてはいけないのか解りません。でもご主人は執拗に追い立てます。『なぜ、なぜ、どうして…』なんだか悲しくなりました。
それでも、私は食事に通いました。こんな話を“ねこ達だけの夜会”のときに友達に話しました。すると、ある日、私よりもみすぼらしい姿の友達「黒猫マリー」が、私の通っていた家にいたのです。『もう、びっくり!あきれちゃいました。』その後、数日通いましたが、私の居場所は無くなったなと思い、そのご主人と別れることにしました。
今までありがとう。お元気でね、サヨナラ。
第1話 『初代黒猫マリー』の出会いと別れ。~END~
第2話 2代目黒猫マリーとの出会い
私の名前は『2代目黒猫のマリー』と言います。名前の通りの黒猫ですが、お腹にほんの少し白い毛があります。また、下の前歯が1本ありません。これから、動物好きの優しいご主人との出会い話しをします。
一昨年の、秋が終わり冬になる頃、私は黒猫マリーから“ねこ達だけの夜会”でこんな話を耳にしました。
『この近くに優しい人が住んでいて、そこに行くとご飯をくれるの。いつもお腹いっぱいになるので、食べるのに困らないわ。』との自慢話しを聞いて私も行ってみようかなと思いましたが、 『でも、この前、私追い出されてしまったの。どうしてなのか解らないわ?』とも話していたのを思い出し、どうしたものかと悩みました。
ある日お日様が沈んだ夕方の散歩中に、黒猫マリーを見つけたので後をつけて行くと、ある家に入っていくのを見てしまいました。
「この前話していたその人の住まいかな?」
しばらく、様子をみていると満足したような顔ででてきました。後日の“夜会”で聞いてみました。『昨日、人が住んでいる家に入っていったよね。何してきたの?』と聞きました。
すると、『ばれちゃいました?』『いいでしょう。どう、あなたもいってみない?』などと言われてしまいました。
興味津々だったので、翌日のお日様が沈んだ夕方、その人の住まいの前まで行くと、黒猫マリーが出入りするのを偶然見てしまいました。お腹が空いていたので黒猫マリーが出ていくのを待って、その人の住まいにご飯をいただきに駆け上がり入って行きました。
すると、そこのご主人が出てきて、私と顔が合いました。『あっ人だ!』始めは怖くて逃げましたが、次の日その家に行くと、私たちの声の真似をしたり、両目でウインクをしたりして、そこのご主人が挨拶をしてきました。また、怒ったりしないでご飯をくれるので、その人の優しさと温かさが解り、とても気に入り通う様になりました。