皆さんは『ハーブ&ドロシー』という映画をご存知ですか?
ニューヨークで17週のロングランを記録し、全米で熱狂的に迎えられた話題作です。その映画が日本で公開されました。この映画は、ニューヨークに住んでいる日本人女性「佐々木芽生監督」制作!!横浜でも伊勢佐木町にある小さな映画館で再上映を繰り返し続け…(本当にロングラン☆)遂にご本人登場の“舞台挨拶”もありました。そんなGOODなタイミングで私が見ることの出来た映画についてお知らせします。
「ハーブ&ドロシー」…タイトルが主人公お2人の名前です。
この2人の老夫婦は、今もニューヨークに住む 『超!有名なアートコレクター』 。その2人の“アートコレクター人生についてのドキュメンタリー映画”です。(余談…)私はこの映画の主人公について、当ギャラリーの代表である藤村から以前聞かされたことがありましたが、詳しくは知らないまま、まさかの“監督挨拶ありの上映”に!感動です(*^^)v=
ご主人の「ハーブ」こと「ハーバート・ヴォーゲル」は、郵便局員としてかつて働いており、奥様の「ドロシー」こと「ドロシー・ヴォーゲル」は、かつて図書館で働いていました。ごくごく普通の仲良しご夫婦です。
ただ、ハーブはアートに関心が高く、仕事のかたわら美術を学び、(とはいえ、沢山の美術館やギャラリー巡りなどを中心とした学習)そして、最初はアートに興味がなかったドロシーも次第にハーブの影響でアートに関心を持つようになり、気がつけば、実務面でハーブをサポートしながら、『現代アート作品のコレクションをスタート』始めたのです。
毎日いくつもの展覧会に出かけては、アーティストと友人のように交流しながら、新しい作家を精力的に発掘していきます。 妻ドロシーの収入を生活費にあて、ハーブのお給料は全て使って作品を購入する生活をなんと!40年にわたって続けたのだそうです(^◇^)
やがてマンハッタンの1LDKのアパートはリビングの壁という壁、べッドの下、さらにはトイレからキッチンまでが、アート作品でぎっしりと埋め尽くされ、「楊枝1本の隙間もない」ほどとなり、最終的に、4000点ものコレクションを築き上げたそうですよ。本当にスゴイですね!!!
その顔ぶれは、ドナルド・ジャット、クリストとジャンヌ=クロード、チャック・クロース、ローレンス・ウィナーなど…いまや20世紀のアート史に名を残す、押しも押されぬ大御所となった作家たちばかりだそうです。
しかし、夫妻がコレクションしていた頃は、まさに、アーティスト達が「若手」で「無名」だったころのお話です。この二人の審美眼に感心した美術館やギャラリーのスタッフは数知れず…と言われています。
尚、この2人のアートを買う基準はたった2つです。自分たちの収入で買える値段であること。次に彼らの小さなアパートに収まるサイズであることです。
彼らのコレクションは、すでに価値の高騰したアーティストの作品ばかりです。数点売れば大富豪になれるにもかかわらず、1992年コレクションの全てを、アメリカ国立美術館ナショナル・ギャラリーに寄贈することを決意したのです。この夫妻の強い意思…1点も転売しないということ。
1000点余りは同美術館の永久保存に、残りの作品群は、アメリカ史上でも最大規模のアート寄贈プロジェクト『ハーバート&ドロシー・ヴォーゲル・コレクション50×50』として全米50州の美術館に50点ずつ、合計2500点を寄贈しました。その類まれなるコレクターとしての資質とアートに対する真摯な生き方は、全世界で多くのメディアに紹介され、話題を呼んでいます♪
2人は日本でこの映画を観る方たちに対してコメントを寄せてくれています。
「私たちはごく平凡な人間で、まさか自分たちのことが映画になるなんて思ってもみませんでした。アートは、私たちにとって人生の全てでした。アーティストからは、たくさんのことを学び、アートを通じて知り合った人々、美しい作品の数々によって人生がとても豊かになりました。アートは興味さえ持てば、誰にでも手の届くところにあります。大コレクターである必要はありません。」
「私たちが知る限り、日本は世界でも最も芸術を愛し、大切にする国だそうですね。皆さんも是非、アートを生活に取り入れて楽しんで下さい。」
皆様は、この2人の存在をご存知でしたか?実に、驚きに値しませんか?また、この映画、ご覧になりましたか?私はとてもとても、驚いてしまいました。
「その画家が今、有名かどうか?ではなく、アートを、自分の感覚で良い!と思ったもののみ手に入れて楽しむ。」という、大変シンプルな考え方。しかも、そのアーティスト達が次々と有名になっているというのは、“本物の審美眼があった…”ということを物語っていますよね。
しかも、このお二人、ごくごく普通の市民であるところが、とても身近に感じられ、温かささえ感じますね。映画を観ていても、2人の仲の良さが伝わってきました。結婚して45年一緒にいなかった日は片手で数えられるだけだそうです(●^o^●)=❤
お子様がいらっしゃらないそうで、のんびり「猫と亀」と共に生活をしています。きっと、前衛的なアートを沢山観てきた猫ちゃん達ですね…(笑)
最後に佐々木監督のお話を伺うことができました。
「過去、この夫妻の人生を映画化したいと大手制作会社から幾つもオファーを受けている…とご夫妻から聞きました。しかし、予算が集まれば、のお話で、実際、撮影に臨んだのは大手の会社でもなく、この私(佐々木監督)だけだったのです。」と。
「私もよく要領を得ず、まずは自分の手持ちのハンディビデオカメラを回していたのです。しかし、2人と度々顔を合わせ、次第に親しく付き合うようになり、知れば知るほど、これはこのカメラではダメ!・・・もっといいものをしっかり撮りたい!!と思い、途中からプロのカメラマンを呼んで、本格的に撮影をし始めたんです。“まさかこんな素敵な映画が仕上がるなんて…”とは、主人公であるハーブ&ドロシー夫妻。とても素敵なご夫妻だと思いましたよ。」
心から、ほのぼのとさせられる映画です。ですが実は、上映が既に終了しており、今すぐの鑑賞ができないのです。ごめんなさい(>_<);;
でも、アート作品に触れ合う事が大好きな方、作品コレクションに興味のある方…皆様にご覧頂きたい素敵な映画です。今、フジムラコンテンポラリーアートにご来店頂ければ、この映画のパンフレットがご覧頂けます。とっても心温まる充実のパンフレットです!機会あれば是非ご覧下さいませ(^u^)来年辺りには、DVDも出る(予定?)とのことでしたので、そのあかつきには、是非ご覧になってみてください!!