私どもの地元である横浜美術館…今回はお客様のおすすめもあり、「松井冬子展~世界中の子と友達になれる~」を観に行ってまいりました。
今回は、松井冬子先生にとり、公立美術館での初の大規模な個展です。
松井冬子展 in 横浜美術館
松井冬子先生は、静岡県出身。
油彩画を学んだのち、日本の古典絵画の技法に表現上の魅力と可能性を見いだし、東京藝術大学美術学部絵画科日本画専攻に入学されました。
芸術表現が呼び起こす精神的肉体的「痛み」を始点として、恐怖、狂気、ナルシシズム、性、生と死などをテーマに挑発的ともいえる作品を制作しています。
学部卒業制作の「世界中の子と友達になれる」の出発点から代表的な原画作品、試行錯誤の軌跡を伝える下絵、厳密に描き込んだデッサンや2010年にフランスで発表し、日本初公開となる「喪の寄り道」や「体の捨て場所」など数多くの作品が展示されていました。
私自身、この分野の作品は今まであまり触れることのなかったものでした。
しかし、今回初めて観せていただいた感想としては、衝撃が強く残るものでした。
誰しもが、「きれい」「癒される」というものではなく、どちらかというと、第一印象で「どろどろしている」「リアルすぎる」と思う方が多いのでは…?と感じました。
ただこの方は暗い世界が好きだとか、人間の体の仕組みが好きだとか…という単純なものではないということがすぐに分かります。
人間の本来の姿を、松井先生の独特な審美眼で追求していった際、辿り着いた世界なんだ…と思いました。
内面的なものを「絵画」という平面の場で表現したら…というテーマは世界各国のアーティストが挑戦している行為だと思います。難しいテーマですね。
私達のように日々アートに関わる仕事をしていても、簡単に表現したり、解決したり、説明したり、なんて出来ないな…と、しみじみ感じます。
他の画家が置かない、むずかしい視点に目を向けて表現しているという点が、大変おもしろいと思います。
みなさんもぜひ、ご覧になってみてはいかがでしょうか?