LEE BUL展に行ってきました!

アジアを代表する韓国女性アーティストの初の大規模個展ということで、六本木ヒルズ森タワー53階にある森美術館に『LEE BUL展 私からあなたへ、私たちだけに』を観に行ってきました。この53階は展望台東京シティビューと同じ階なので、東京を一望することができ夜は東京タワーが見える夜景が素敵なところでもあります。

 

LEE BUL展のチラシ(表)

LEE BUL展のチラシ(表)

 

LEE BUL展のチラシ(裏)

LEE BUL展のチラシ(裏)

 

皆さん初めてお聞きになる方が多いかと思いますが、LEE BUL(イ・ブル)は、ソウル在住の現在48歳。大学で彫刻を専攻。1990年代後半には国際的にも高い好評を受け、グローバル化以降のアートシ―ンの中でアジアを代表するアーティストとしての位置を確立しました。

1997年にはニューヨーク近代美術館、2002年にはル・コンシルシウム、2003年には国際交流基金フォーラム、2007年~2008年カルティエ現代美術財団などで個展を開催し、ヴェネチア・ヴィエンナーレ国際新人賞の受賞歴もあります。

 

LEE BUL

LEE BUL

 

LEE BULの作品は、機械と人間が融合したようなサイボーグ、スペースカプセルのようなカラオケ・ポッド、あるいはキラキラと輝きながらも崩壊しそうな建築・都市模型など、多様な素材や技法を駆使した立体が中心です。
今回はその代表作を「つかの間の存在」、「人間を越えて」、「ユートピアと幻想風景」、「私からあなたへ、私たちだけに」という4セクションでその発想の根源でもあるドローイングや模型を展示しています。

 

会場に入って最初に目にする作品は、天上から吊るされている作品。赤く染められた布に綿を入れてまるでタコの足がたくさん集まって1つの塊になったような、炎の塊にも見えるものでした。彼女はいったい何を伝えたいのだろう…ということを考えながら足を進めて行きました。

 

次にきたのは白い壁の空間で「ビーズを使う作品たち」でした。最初は女性を意識する作品のイメージはなかったのですが、ここではカラフルなビーズやスパンコール使いが女性ならではの感性で表現されていました。印象に残った作品は女性の身体を半分に割って外も中もビーズとスパンコールで埋め尽くされている作品です。女性の可愛らしさ、少女の一面など内に秘めた女性観が伝わってきました。

 

ポストカードにもなっている作品

ポストカードにもなっている作品

 

まるでシャンデリアのようにも見える作品

まるでシャンデリアのようにも見える作品

 

黒い壁の空間には「サイボーグの作品たち」が天井から吊るされていて、空気の動きで少し動いているような状態で何体もありました。真っ白なサイボーグは片腕がなかったり、片足がなかったりしていたのですが、なぜか不思議に思わずに見てしまいました。その形がおかしいのか、そういう形があってもいいのでは…という今までにない感覚になりました。

 

サイボーグ作品

サイボーグ作品

 

また、彼女のスタジオを再現したスぺースもありました。そこにはドローイングやスケッチも数多く壁一面に展示されていて、デッサンの細かさが伺えました。オールドマスターといわれる立体作品の巨匠たちのデッサンは細かいとよくいわれます。彼女もその要素を持っているのかもしれません。

 

そしてそこには犬の模型が沢山ありました。同じポーズをとっている犬が色々な素材を使って表現されています。これは、夜景の見える部屋に展示している「犬」の作品にいきつくまでに試行錯誤したものなのではと思うのですが、以前飼っていた犬が食べたものを消化するための1つの行動で、食べたものを吐いているいるところを目撃してしまい、妙に脳裏に焼き付いてしまい離れなかったのでそのシーンを作品にしようと制作されたものだそうです。

 

私は夜に行ったので、「東京の夜景に向かって犬が吐いているシーン」なのですが透明の大きな玉やビーズやプラスチックなどで出来たその作品がライトで照らされてきらきらした様子はなんだか見とれてしまいました。現実的に見たらけしてきれいではないものでも、何でどうやって表現するかによって真逆のイメージに見えることがあるのだと感じさせてくれる作品でもありました。

 

犬が吐いているシーンの作品

犬が吐いているシーンの作品

 

軍事政権から民主化へと移行した韓国で作家活動を続けてきたイ・ブルは、20年以上にわたって、究極の身体や理想の社会など、捉えようとしても特定できない「何か」を追い求めてきました。
立体だからこそ、色々な素材を使い表現できる世界でもあります。絵は好きだけど、立体はよくわからないという方もいるとは思いますが、そんな方でも立体の面白さに気づくかもしれません。
2012年5月27日(日)まで火曜日以外は10時から22時まで開催してますので、是非この機会に行かれてみてはいかがでしょうか?

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